7+α. [応用編]5つのLot数決定手法の使い分け、リスクと報酬のバランス

2021/03/12

検証
sys7_eye

システムトレード基本と原則 8章

資金管理のためのLot数計算

前回、負けた時はLotを減らし、買った時はLotを増やす逆マーチンゲール法が攻守両面で有効という説明をしました。

今回はその具体的な手法をさらに深掘りしていきます。

計算が多く、応用的な内容ですが、まずは念の為、Lotについてまとめておきます。

Lotとは

まず、FXにおけるLotを確認します。

Lotは英語で『単位』という意味で、日本語に訳すと1枚とかが使われます。

基本的には1Lot = 1万通貨と覚えておけば大丈夫です。

しかし、

Lotは言ってしまえばただの単位ですので、
1Lot = 10万通貨としている証券会社や、通貨ペアによって異なる場合もあります。

海外の証券会社では10万通貨を1Lotとする場合が多いので注意が必要です。

LINE FXでも1Lot 1万通貨としており、ドル円であれば1Lot大体約100万円分のトレードとなります。

最大レバレッジが25倍ですので、約4万円の必要証拠金があれば約100万円分=1Lotの取引ができます。

5つのLot数決定手法

資金管理の目標は以下の攻守2つです。

  • (攻) 利益を伸ばす
  • (守) 破産確率を下げる

ただ、この2つはトレードオフです。

つまり、攻めを重視したら守りは弱まり、逆に守りを重視すると攻めは弱くなります。

なので簡単ではない問題なのです。それゆえ5つも提案し比較しています。

  • 固定資金
  • 固定ユニット数
  • ウィリアムズの固定リスク率 (定率)
  • 固定ボラティリティ
  • 固定比率

5つもありますが、固定比率以外はとても似ています。

基本的に、

いくら口座残高が増えたらLotを増やすか

です。

いくら口座残高が増えたらLotを増やすか

『システムトレード基本と原則』では色々と難しく書かれていましたので、

口座がX円増えたらLotを増やす

という形で表現していきます。

1. 固定資金

X = maxDD(最大ドローダウン)÷許容率

maxDD…用いている戦略を1Lotで運用した場合の最大ドローダウンです
(想定or実際の値でOK)

許容率(ブロートーチリスク)…あなたがどれだけ痛みに耐えられるかのパラメータ

maxDDが10万として、

25%まで口座を失ってもOKとしたら、Xは40万、50%なら80万増えたらLotを増やすというルールです。

許容率25%でLot数3の場合、口座は120万円より多い状況になります。

最大ドローダウンが発生すると、10×3Lot=30万円となり、25%のドローダウンになります。

つまり、

1Lotでの最大ドローダウンと許容ドローダウン%ベースの手法

2. 固定ユニット

X=トレードリスク ✖︎ ユニット数

トレードリスク…用いている戦略の1Lotでのリスク(損切り時の損失)

ユニット数…口座を何分割してトレードを行うか

トレードリスクが1万円でユニット数が30の場合、30万円増えるごとにLotを増やすことができます。

なお、破産確率を下げるためにユニット数は20以上必要です。

3. ウィリアムズの固定リスク率 (定率)

X = トレードリスク ÷ 固定リスク率

トレードリスク…上記と同じ1Lotでのリスク(損切り時の損失)

固定リスク率…口座の何%をリスクにかけるか

例えば、10%の口座のリスクをかけるとして、トレードリスクが1万円の場合、

X = 10万円増えるごとに1Lot増やすことができます。

余談ですが、この方法はラリー・ウィリアムズによる方法で、『ラリー・ウィリアムズの短期売買法』の中で資金管理について初めて世間に説明した人です。

ウィリアムズの固定リスクは資金管理方法の元祖というわけです。

4. 固定ボラティリティ

X = 相場のボラティリティ ÷ 固定リスク率

< 取引枚数 = (固定リスク率 ✖︎ 口座残高) ÷ 相場のボラティリティ >

相場のボラティリティ…使用している時間軸でのボラティリティ

固定リスク率…口座の何%をリスクにかけるか

相場のボラティリティの算出ですが、

ATR(Average True Range)(前日の価格を考慮した真の変動額の平均値)を用いてボラティリティを算出します。

短期トレーダーであれば10日ATRなどを使用します。

固定リスク率が2%とし、

10日ATRが0.2円で変動が穏やかな相場の場合、1Lotでは2000円分の変動となるので、Xは10万円ですが

ATRが0.8円で変動が激しい相場の場合は、1Lotでは8000円分の変動となるので、Xは40万円と大きくなります。

つまり、相場が穏やかであればその分Lotを増やしやすいですが、
激しい場合は保守的にLot数を増やしていきます。

ただ、この手法は他のと違い
Xがボラティリティに応じて変動しますので

下の式で随時、今持てるLot数を確認しながらの運用となるでしょう。

<取引枚数 = (固定リスク率✖︎口座残高) ÷ 相場のボラティリティ>

0.02✖︎100万円÷8000円 = 2.5 → 2Lot

0.02✖︎100万円÷2000円 = 10 → 10Lot

0.02✖︎50万円÷11000円 = 0.9 → 0Lot = ポジションを取れない

相場のボラティリティが高く資金が少ない場合、ポジションを取れないということもあり得ます。

どの手法でも言えますが、資金の少ないうちは多少リスクを負って、

つまり固定リスク率を2%ではなく10%や20%などに設定して攻める必要もあるかもしれません。

そして、資金が増え、より堅実に行くべきと悟った時、リスク率を変更し、保守的な資金管理で着実に増やしていくスタイルが良さそうです。

5. 固定比率

これだけは今までの手法と少し違います。

次の口座水準 = 今の口座水準 + (現在の取引枚数 ✖︎ デルタ)

次の口座水準に達するとLot数が増やすことができます。

そして、デルタですが、

デルタ = ドローダウン + 証拠金

つまり、用いている戦略で起こるドローダウンの額プラス証拠金の余裕を持たせた額がデルタです。

ドローダウンが6万円で証拠金が4万円とするとデルタは10万円になります。

口座残高Lot数次へ必要な儲け
10万円110万円 ✖︎ 1Lot = 10万円
20万円210万円 ✖︎ 2Lot = 20万円
40万円310万円 ✖︎ 3Lot = 30万円
70万円410万円 ✖︎ 4Lot = 40万円

これはいつの状態でも1Lotが10万円(デルタ)分稼がないとLotを増やせないというルールです。

比較のために、それ以外の手法で X = 10万円の場合

口座残高Lot数次へ必要な儲け
10万円110万円 ✖︎ 1Lot = 10万円
20万円25万円 ✖︎ 2Lot = 10万円
30万円33.3万円 ✖︎ 3Lot = 10万円
40万円42.5万円 ✖︎ 4Lot = 10万円

このように次へ必要な儲けが一定なので、1Lotあたりに稼ぐ必要がある金額がどんどん減っていき、早くLot数を増やすことができます。

リスクと報酬

Q. Lot数4を40万円で到達する手法Aと70万円で到達する手法B、どちらが良いのでしょう?

報酬、つまり利益を伸ばす視点では早い段階でLot数を増やせる前者Aでしょう。

でもこの場合を考えてください。

破滅的な損失の発生…1Lotあたり5万円の損失発生

想定外の事態が発生し、連敗が続き大きく損失が出てしまうドローダウンに見舞われました。

この場合、4Lotなので20万円のドローダウンです。

この時、Aは40万円→20万円で50%ドローダウン、100%分の利益を出さないと回復できません。しかもLot数は2Lotとなり、挽回するのにも時間がかかることが想定されます。

そもそも50%ドローダウンは相当キツく、ドロップアウト(破産)も考えられるほどです。

一方Bでは70万円→50万円の29%ドローダウン、回復には40%分の利益が必要ですが、Lot数は1つ失った3Lotで回復を目指せます。

これがリスクと報酬の関係です。

つまり、早い段階でLot数を増やすと、負けが続くとドローダウンが大きくなり、回復に時間がかかり、最悪の場合、ドロップアウト(破産)します。

資金管理で用いた計算式は全て理想の場合のドローダウンなどを用いていますが、

現実はもっと過酷なドローダウンが発生することがあります。

報酬を重視しすぎるとリスクが大きくなることを肝に銘じましょう。

まとめ

用いている戦略のドローダウンや自分が許容するリスク率に応じて資金管理が決定されることが分かったかと思います。

リスクと報酬のバランス設定も人それぞれですので、やはり

自分で考え、検証すること

が大事です。

資金管理はポートフォリオの形成ですので非常に面白い内容です。

どの資金管理をするとどういったドローダウンや利益はどうなるか、こういった資金管理の検証ツールもいずれサービスとして提供できればと思います。

数値シミュレーションで上記の手法を全て検証しました。
資金管理の理解が進みます!

strのプロフィール画像

str