2021年05月19日
一番有名なテクニカル指標であるゴールデンクロスとデッドクロスは現在のFXの相場でも有効なのでしょうか?
2000通り以上のパラメータの組み合わせを用いて、利益の出るゴールデンクロス&デッドクロスを探索してみます。
一般的なゴールデンクロスの期間は
10 15 25 50 75といった区切りの良い数字が良いと言われています。
理由は区切りのいい数字の移動平均線は多くの投資家が意識しているため、
トレンドと認識し動く人が多いからという理由です。
この一般的な期間でのゴールデンクロスが有効なのかどうかもチェックしていきます。
今回はUSDJPYの5分足と60分足を使います。
Long(買いエントリー)の場合はゴールデンクロス→デッドクロス
Short(売りエントリー)の場合はデッドクロス→ゴールデンクロス
とし、ゴールデンクロスとデッドクロスの短期移動平均期間と長期移動平均期間を変えて検証していきます。
評価方法は15ヶ月の月ごとの平均利益です。
つまりこの平均利益が最大のものを今回の検証では最適とみなします。
検証対象であるUSDJPYの相場はこのようになっていました。
コロナの影響を受け、特に2020/03は激しい値動きがありました。
全体的には円高傾向で動いていましたが、2021年に入ってからは円安方向へ動きました。
赤い部分が利益が出ている組み合わせ、青い部分が損失が出ている組み合わせです。
縦軸が短期移動平均線の期間を、横軸が長期移動平均線の期間を表しています。
左上の期間が短いクロスでの売買は総じてマイナスとなっていることから、
5分足では期間の短いゴールデンクロスの順張りは機能していないと考えられます。
また、グラフの左側は全体的に青いことから、短期と長期の期間の差が少ない
(例:短期50 長期60)場合も同様に機能していないと言えます。
一方、短期30 長期80周辺とそこより右下のエリアは赤い分布が確認できますので、5分足での中長期移動平均でのゴールデンクロスが機能しています。
買いエントリーの場合と同じような結果が得られました。
つまりデッドクロスでのエントリー、ゴールデンクロスのイグジットにおいても
短期では機能しないが十分な期間差がある中長期移動平均線では機能する
ことが確認できました。
ただ、利益の大きさが買いエントリーと比べ減少していることから、
トレンド捉えるテクニカルとしてより機能したのは、ゴールデンクロス>デッドクロスという考察もできます。
特に対象相場が下降トレンドであったため、通常なら売りの方が利が伸びやすい相場です。それでも買いエントリーの方が利益が出ているので
→ゴールデンクロスがより機能したと言えます。
60分足では5分足と逆の結果となりました。
つまり、
短期及び中期では機能し、長期では機能しないことがわかりました。
踏み込んだ考察をすると、2つのスポットがあります。
この2つのスポットへの考察は次の売りの結果を見て判断しましょう。
買いの結果と同じような分布となりました。
デッドクロスエントリーの場合でも2つのエリアは有効でした。
ただ、ここで注意すべきは右下の部分です。
短期 50 長期 100以上のエリアは月毎の取引回数は平均2回程度しかありません。
対象通貨の相場が下降トレンドであったことを踏まえると、
売りエントリーではずっと持っていれば利益の出た相場ということです。
そのため、このエリアは買いエントリーでは大きくマイナスで売りエントリーはプラスであったと考えられます。
一方、短期15 長期25の月間平均取引回数は10回でした。
毎月10回取引を行って、しっかり利益を出していたことになります。
そのため、先程先送りしていた考察
これは1の短い移動平均期間での組み合わせの方が優位性があると結論づけました。
一般的にバックテストでのオーバフィッティング(過学習)回避のためにはそのパラメータ周辺でも同様の結果が出ていることを確認すべきです。
そのため、特筆した利益が出た組み合わせがあったとしても、そのパラメータ周辺でも同様の結果が出ているか確認しましょう。
そのためにパラメータ空間をエリアで捉え確認することがバックテストでは大切です。
短期の取引では長期のパラメーター、長期の取引では短期のパラメーターの組み合わせが良い結果となりました。
5分足の120本は10時間です。つまり60分足での10本と同じ期間となります。
つまり現在のFXの相場でも“10時間”程度の移動平均を使うゴールデンクロス、デッドクロスでの優位性が短期間、長期間の共に認められたということがわかりました。
さらに、一般的な期間でのゴールデンクロスとデッドクロスが有効というのは確認できませんでしたので、本やネット記事の情報だけを鵜呑みにするのは大変危険なこともわかりました。
必ずご自身の判断基準のためにもバックテストを行うようにしてください。
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